神様のパズル

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)

「宇宙は『無』から生まれた」と、彼は言った。「すると人間にも作れるんですか? 無なら、そこら中にある――」

 この一文だけで、面白いなと思った人にはお勧めできます。ジャンルは近代SF、青春小説。
 第3回小松左京賞受賞作で、映画化とゲーム化も決定しているらしいですが、まあそこらはどうでもいいです。
 表紙イラストがライトノベル調なので、キャラクタ小説であるかのようにも思えますが、実際に読んでみるとそうでもありません。むしろキャラクタにはあまり魅力がないとさえ言えますが、そんなことよりも物語のテーマが面白い。

「あなたは何とも思わないのですか?」
「え?」
「宇宙がどうしてできたかも知らずに生きているということが。そしてこんな根本的なことも分からずに死ななければならないということがですよ」

 理系の専門的な話はぜんぜん分からないけれど、こういう言葉にされると強く興味が湧いてくる。だからって勉強する気にはなれないわけだけど、知りたい気持ちはよく分かる。